ウォルサム ウォッチカンパニー(第三回)

こんにちは。店長です

今日はウォルサムの3回目ですね。
数々の困難を乗り越えて、隆盛を極めたウォルサム。
その歴史を通じて、ウォルサムというメーカーの魅力を感じ取って頂ければと思います。


アメリカの時計学というものは、ウォルサムの輝かしいビジョンに負うところが大きいのです。
ベーコン、チャーチ、デニソン、フォッグ、ハワード、マーシュ、ウェブスター、それにウォード。
彼らは、アメリカにおける時計製造に高く貢献しています。


1854年~1941年当時のウォルサム工場

 
ウォルサムは、懐中時計(と、一部クロック)の製造を1957年まで続けました。時計生産の中止後、社名を
ウォルサム・プレシジョン・インストルゥメントカンパニー(Waltahm Precision Instrument Company)へと変更しています。
1958年には、一般向けの時計販売からも撤退しています。

ちなみに、ウォルサム・ウォッチカンパニー(Waltham Watch Company)の商標は売却されています。
シカゴにある、ホールマークウォッチカンパニー(Hallmark Watch Company)が、この権利を買い取り、彼らが輸入した時計をウォルサムの名前で販売しています。

名前入りのグレード

ウォルサムというメーカーは、ムーブメントのグレードナンバーに加えて、名前を多く使うメーカーでした。
この名前とは、会社の理事会メンバー、投資家、あるいはその他の著名人などです。

P. S. Bartlett 、 Appleton Tracy & Co. 、 William Ellery、
Crescent Street、 Colonial、 Riverside、 Central Park、
Broadway、 Royal E. Robbins、 Vanguard、 Bond Street、
Sterling、 Premier、 Royal、
Maximus

などです。あなたの知っている銘はありましたか?(笑)

現代のウォルサム

実は、今現在も新品でWALTHAM銘の懐中時計というものは販売されています。
現在はWALTHAMという商標のみが残っており、当時のウォルサムとは全く関係ありません。

現在販売されている、機械式の懐中時計は、ムーブメントにUNITAS(ETA社製)が使われています。
この点でも、いわゆる当時のウォルサム本家とは何も関連の無いことが分かります。


Waltham Heritage:ウォルサムヘリテージ ハンターケース

 
実際、米連邦取引委員会による1961年判決によって、元のウォルサムに関係が存在するすべての推論は禁止されています
現代のウォルサムが、オリジナルのウォルサムに関連があるかのように表現することは禁じられているのです!

実は、今回ウォルサムの特集を書いたのも、先日当店に問い合わせて下さったお客様から質問があったから。

『他店で、新品のウォルサム懐中時計が販売されているのですが、あれは本当のウォルサムですか?』
・・・なるほど。そう質問したくなる気持ちも分かります。

確かに、WALTHAMとは書いてあるけれど、当時のWALTAHMとは明らかに違うと感じたからでしょう。
現代でも、あのWALTHAMは懐中時計を作り続けているのか?と感じるのも無理からぬところです。

もし、新品でWALTAHMの懐中時計を購入できるのなら、それは素晴らしいことです。
しかし、これまで3回に渡ってお伝えしてきたとおり、オリジナルのウォルサムは1957年に製造を終了しています。
現在はその銘だけが残っているに過ぎません。エルジンもそうですね。


左が当時のウォルサムリバーサイド。右は現代のウォルサムに使われているETA UNITAS6498。

 
僕は、現在製造されているWALTHAM自体を決して悪いとは思いません。
新品に対するニーズも必ずあるからです。
もちろん、当時よりも精度は良いでしょうし、購入後のメンテナンスも不安が少ないと思います。
新しい懐中時計が欲しいのならこのWALTHAMを買うのはアリかも知れません。

しかし、禁止されているのにも関わらず、当時の栄華を誇ったウォルサムと関連付けて販売するのはどうかな?と思います。
写真からも分かる通り、両者は全くの別物ですから。

これからウォルサムが欲しい!と思った方は、新品か、アンティークか?
両者の違いをきちんと意識しつつ選ばれると良いのかなと思います