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懐中時計を華やかに彩るジュネーブ波形

ジュネーブ波形(Geneva Stripes)とは、懐中時計のムーブメントの受け板などに施された波状の模様のことを指します。

懐中時計を華やかに彩るジュネーブ波形

ジュネーブ波形は、一般的にコート・ド・ジューネーブ(Côtes de Genève)として呼ばれています。
この装飾技法は、ローズエンジン旋盤(Rose engine lathe)という機械を使って、地板・受け板の表面を薄く削って模様を付けたものです。ジュネーブ波形も、ダマスキーン模様と同様に、メーカーごとに特徴があり、時計の顔を構成する重要な要素といえます。

懐中時計を華やかに彩るジュネーブ波形

下の写真は、ハミルトンの鉄道懐中時計のジュネーブ波形です。

懐中時計を華やかに彩るジュネーブ波形

ジュネーブ波形は、20世紀前半までの懐中時計にはよく見られますが、ダマスキーン模様と同様、1940年頃からはシンプルなヘアライン加工された地板に代わり、現代においてはアンティークウォッチを除いて、滅多に見られなくなりました。

スイスではロンジン(LONGINES)やオメガ(OMEGA)、アメリカではイリノイ(ILLINOIS)やハミルトン(HAMILTON)といったメーカーのムーブメントにジュネーブ波形が施されているのを見かけます。
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エレガントなダマスキーン模様の懐中時計

エレガントな懐中時計のダマスキーン模様

懐中時計によく用いられているダマスキーン(Damaskeening)は、上のようなムーブメントの受板などに施された美しい線形模様のことをいいます。

ダマスキーン模様が登場したのは、1868~1869年頃のことです。
アメリカのU.S.Watch Co.がダマスキーン模様の施された懐中時計を初めて発売し、その後全米の各メーカーに広まったとされています。

ダマスキーン模様は、メーカー毎に特色があり、模様の描かれ方でほとんどその懐中時計がどのメーカーなのか判断できます。
ダマスキーンの美しい模様により、懐中時計メーカー各社が独自にムーブメントの美しさに心血を注いでいたことが良く分かります。

下の写真はロックフォード社のダマスキーン模様です。

エレガントな懐中時計のダマスキーン模様

受板に装飾されたダマスキーンやジュネーブ波形といった模様が見られるのは、だいたい1930年代くらいまでの懐中時計です。

エレガントな懐中時計のダマスキーン模様

下の写真は、1940年頃のウォルサムで、受板はヘアライン加工されたニッケルプレートに変更されていたり、ルビーもビス留めのゴールドシャトンではなく、受板に直接ルビーが封入されています。

エレガントな懐中時計のダマスキーン模様

昔は現代と違い、洗浄方法も発達しておらず、地板や受板が強い薬品で洗浄されていたため、炭化したように黒くなっている懐中時計も時々見られます。懐中時計を選ぶ際には、きちんとムーブメントの状態もチェックする必要があります。

エレガントな懐中時計のダマスキーン模様

ダマスキーン模様は、通常ニッケルの受板に施された模様ですが、下の写真のようにまれに金色が混じったツートーン・ダマスキーン模様というものも存在します。

エレガントな懐中時計のダマスキーン模様

これは、ニッケルプレートに、金を張り合わせたもので、見た目にも大変美しいものです。
数が圧倒的に少ないため、ウォルサムの場合、市場に流通している懐中時計100個のうち1個も見つけることができないと言われています。

エレガントな懐中時計のダマスキーン模様

懐中時計のムーブメントに表記されている姿勢数とは?

懐中時計の説明には、3姿勢や5姿勢などという“姿勢”という表記をよく見かけます。

懐中時計のムーブメントの部分に、“Adjusted 3 Positions”などと表記されているのがそれにあたります。

懐中時計の姿勢数

これは、“時計を置いた向きによって生じる重力の影響による時差を調整してありますよ”という意味です。

例えば、5姿勢(5 Positions)制御であれば、下のようなそれぞれの向きによって生じる誤差を調べます。

・平置きで文字盤を上にして計測
・平置きで文字盤を下にして計測
・垂直置きで3時を上にして計測
・垂直置きで9時を上にして計測
・垂直置きで6時を上にして計測

一般的に、3姿勢よりも5姿勢、5姿勢より6姿勢と、姿勢の数が大きなものは、それだけさまざまな向きで使用した場合でも、誤差が少ないように制御されていて、精度が高いということになります。

ところで、幾つも懐中時計を扱っていると、“Unadjusted”と表記された懐中時計に出くわすことがあります。

懐中時計の姿勢数

この“Unadjusted”をそのまま訳せば”未調整”品という意味になります。
懐中時計の姿勢の計測には、かなりの日数を要します。高級懐中時計の場合は
ともかく、一般懐中時計の場合には、そこまで精度調整に時間を掛けてしまうと、大量生産するのに向かないため、厳密に精度調整行うことなく出荷された「未調整品」という説があるようです。

でも、しっかりと組み上げた時計が何も調整されずに出荷されていたとは考えにくく、何も制御機構が備わっていないということを刻印していたというのも不自然ではあります。

昔は懐中時計は大変な高級品で、輸出入の際に、ケース素材や、ジュエル数などによって、高い関税が掛けられていました。また、姿勢数によっても、関税率が変わっていたので、見掛け上、“Unadjusted”と表記することによって、関税を低く抑えていたのではないかとも考えられています。

しかし“Unadjusted”と表記されていても、実際には、何らかの制御がされているものと思われます。

懐中時計の風防はアクリル製かガラス製か?

風防ガラスの“風防”とは、文字通り、風よけのことを意味します。
風防ガラスには、大きく2つに分けることができます。
それは、アクリル製の樹脂ガラスと、通常の無機ガラスです。
では、これら2つを判別するにはどうすればよいのでしょうか?
その判別方法は、爪で風防ガラスを軽くたたいいてみるのです。
この風防ガラスをたたく音によってこれらを判別することができます。

風防ガラスをたたいて、コンコンとか、ポクポクなど、軽めの音が出ているものはアクリル製、キンキンや、カンカンといった、硬質な音なら無機ガラスと断定できます。

アクリル製の風防ガラスは製造コストが安く、空気を通す性質があります。
平面では強度が確保されないため、エッジ部分を盛り上げたデザインになっていることが多いのが特徴です。この丸味を帯びたエッジのデザインは、懐中時計からの温もりを感じるデザインでもあります。

懐中時計の風防ガラス

アクリルは、独特のラウンドできれいな風防ですが、本来はオリジナルのガラス製の風防ガラスが使われていたはずです。アクリル製の風防ガラスが登場するのは、少なくとも第二次世界大戦後のことかと思われます。懐中時計が人から人へ受け継がれるうちに、オリジナルの風防ガラスが割れてしまい、後年アクリル風防ガラスに交換されたものと思われます。

アクリルは、その素材自体に粘りがあるので、割れにくい利点がありますが、その柔らかさゆえに傷が付きやすい欠点があります。一方、オリジナルのガラスには硬度があり、アクリルに反して、傷が付きにくい素材であるため、透明度の点からは、こちらのガラス風防のほうが優れているといえます。

懐中時計の風防ガラス

しかし、ガラス製の風防は一般的に割れやすく、風防自体のコストも高いのが難点となります。それでも、ガラスの風防が好まれるのは、硬質ゆえの透明度の高さとラインの美しさではないでしょうか。
アクリルとは異なり、全体的にきれいな弧を描くのがガラス製の風防です。

一概に、アクリルとガラスのどちらが良いのかというわけではなく、アクリルガラスでも、風防ガラスとしてぴったりサイズが合っていてきれいなものは、本当に良いコンディションだと思いますし、ガラスでもその上に傷が多かったり曇っていれば、やはり見た目にもかなり悪く映ります。

現在でも動き続けているアンティーク懐中時計の場合、大抵は何かしらのメンテナンスを受けているはずで、風防ガラスが交換されていることも少なくありません。大切なのは、きっちりとサイズが合っていることと、風防ガラス自体のコンディションが良いことがポイントだと思います。

アンティーク懐中時計は、ガラス風防を使ったものがほとんどなのですが、状態が良ければアクリル製の風防でもかまわないと思います。ただ、エステートセールなど、個人収蔵品として流通している懐中時計のアクリル製の風防ガラスは、サイズが合っていない場合も多く、ベゼルの上に乗っかっているだけで、きちんととまっていない場合すらあります。

懐中時計を見るときには、ガラスの状態はもとより、斜めから見下ろした
状態で、風防ガラスのサイズがベゼルやケースと合っているか、不自然なラインになっていないかもチェックしてみる必要があります。

きっちりとサイズが合っている風防ガラスが装着されている懐中時計は、手に取ったときの満足度がまるで違うと思います。素材の違いだけでなく、懐中時計全体としてのラインを見るとよいと思います。

オリジナルレザーケースは外出時のお友達

こんばんは。
新店長です。

先月、当店のオリジナルレザーケースをお買いいただいた、
埼玉県のY.S.さまからメッセージをいただきました。
このようなメッセージは、とてもうれしいですね。

CWORGLEACASEKINARI-08

 

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