アンティーク懐中時計の時刻の合わせ方はどうすればいの?【アンティーク懐中時計の基本的な使い方 -2-】

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懐中時計の基本的な使い方の一つに時刻を合わせる動作があります。やはり懐中時計の時刻の合わせ方にも、その時計によりいくつかの方法があります。時刻の合わせ方には、主に以下の4種類があります。


– ステムセット方式(リューズセット方式)
– レバーセット方式
– ネイルセット方式
– キーセット方式

 

ステムセット方式(リューズセット方式)

ステムセット方式(リューズセット方式)の懐中時計の時刻合わせの方法は、一般的な手巻きの腕時計と同じ考え方です。竜頭を一段引いて時計周りに回して時刻を合わせます。3
針は時計回り・反時計回りのどちらにも回りますが、針を時計と反対周りに回すのは、あまりムーブメントにとって良くないとされています。

最近の時計では、逆回転させても全く問題ないとされていますが、ビンテージまたは、アンティーク懐中時計の場合、逆回転させると、ムーブメントが壊れてしまうという意見も根強くあるようです。一般的には、微調整のため逆回転させても構いませんが、何時間ものズレを逆回転では合わせないと理解しておくとよいと思います。

レバーセット方式

レバーセット方式のタイプは、主に鉄道懐中時計などによく見られます。レバーセットタイプの場合、リューズを引く代わりに、文字盤の脇にある小さなレバーを引き出して時刻を合わせます。鉄道懐中時計の多くはベゼルを外してレバーを引き出すのが一般的です。4
レバーが止まるまで、静かに引き出し、リューズを反時計回りに回して、時刻を合わせます。時刻合わせが完了したら、レバーを戻して、ベゼルを装着すれば設定完了です。
ハンターケースなど、一部の懐中時計では、レバーがベゼルの横から顔を覗かせている場合もあります。そうしたケースでは、ベゼルの取り外しは不要です。
レバーセット方式での注意点は、レバーを引き出す際に、陶製(ポーセレン)や、エナメルの文字盤を傷付けてしまう可能性があるということです。鉄道懐中時計など、レバーセット仕様の懐中時計で、レバーの根元部分の文字盤がチップしているものが多いのはこのためです。
レバーを引き出すときは、なるべく指の腹を使ってゆっくりと静かに引き出すようにしましょう。

ネイルセット方式

ネイルセットは、日本ではダボ押しとかカニ目押しと呼ばれます。このタイプの懐中時計は、ステムセットに移行する前の19世紀後半~20世紀初頭に見られた数少ない設定方式です。5
懐中時計の肩の部分にあるネイル(爪)の突起をツメ先でしっかりと押し込みながら、竜頭を反時計回りに回して時刻を合わせます。

ネイルセット方式は、ステムセットのように誤ってリューズが引っ張られて時刻が狂ってしまう心配も殆どありませんし、レバーセットに比べて、ベゼルを外す必要も無いので、一度この方式に慣れてしまうととても便利なセット方法であることがお分かり頂けると思います。

ただし、ネイルセット方式の注意点は、ツメをしっかりと押し込みながらステムを回すことです。中途半端にツメを押してステムを回してしまうと、時計の内部で歯車が中途半端に噛んでしまい、ガリガリと歯車の先端同士が擦れてしまいます。しっかりと押し込んで時刻セットするのを忘れないようにしましょう。

キーセット方式

キーセット方式は、鍵を用いて時刻を合わせる方式です。キーセット方式は、以下の二種類に分類されます。

- ぜんまいの鍵穴の脇に時刻合わせ用の穴が設けられているタイプ
- 文字盤の針の中央に鍵をあてがい、直接針を回すタイプ

 

ぜんまいの鍵穴の脇に時刻合わせ用の穴が設けられているタイプ

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このタイプは、懐中時計の裏蓋を開けると、ぜんまいの鍵穴の脇に時刻合わせ用の穴が設けられています。この穴に鍵を差し込み、文字盤で針の動く方向を確認しながら、静かに時刻を合わせます。

右の写真の場合、“SET HANDS” と親切に刻印されていますが、刻印が無いケースもたくさんあります。これは実際に使ってみて覚えるしかありません。

 

 

ぜんまいの鍵穴の脇に時刻合わせ用の穴が設けられているタイプ
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このタイプは、懐中時計の文字盤の針の中央に鍵をあてがい、直接針を回すことにより時刻を合わせます。英国式のアンティーク銀無垢懐中時計に良く見られるタイプです。針の中心部分が、鍵を差し込めるよう、◇の形になっているのがわかるかと思います。この部分に、垂直に鍵を差し込み、静かに時計回りに鍵を回して時刻を合わせます。

ケース裏蓋を開けてキーを差し込む方式に比べ、この針の中心にキーを当てて針を直接回す方式の場合、鍵を深く差し込むことができません。引っ掛かりの部分が浅いためです。このため、時刻合わせを行う場合、鍵をきちんと垂直に差し込み、静かに回すことが重要です。

使用していくに連れて、この差込口の角が擦れて、カギが舐めてしまうケースも見受けられます。

 

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