懐中時計の4つの形式とその変遷

懐中時計の4つの形式とは?

アンティーク懐中時計の形式には、長い歴史の間に4つの変化がありました。

  1. 鍵巻き式懐中時計(キー・ワインダー)
  2. ダボ押し式懐中時計(サイド・プッシュ)
  3. 剣引き式懐中時計(レバー・セット)
  4. 竜頭式懐中時計

鍵巻き時計(キー・ワインダー)

鍵巻き懐中時計

アンティーク懐中時計の最も古い形式は、鍵巻き式の懐中時計でした。
懐中時計の始まりは、1500年代と言われていますが、それから1890年ごろまでの長い期間が鍵巻き式が広く用いられていました。特に古い時代には、ぺア・ケースという二重ケースやフュージーと呼ばれるくさり引きとかチェーン引きなどと呼ばれる装置のついているものもありました。

これらは、ヨーロッパの小説や映画などによく登場します。たとえば、シャーロック・ホームズの小説には鍵巻き式懐中時計の時代であり、日本でも江戸の徳川時代にほんの少し輸入されたものがこの鍵巻き式懐中時計にあたります。その後、明治の時代になり20年ほどの間は輸入ものの時計は鍵巻き式の懐中時計でした。

鍵巻き懐中時計の鍵

鍵巻き式の懐中時計は、時計本体とは別に小さな鍵があって、ゼンマイをその鍵によって巻き上げ、針合わせをするときにもこの鍵を使います。機械式の掛け時計のゼンマイを巻く鍵を小さくしたものと思えばよいと思います。

ダボ押し式懐中時計(サイド・プッシュ)

その次の形式はそれほど長い期間は作られませんでしたが、ダボ押し(サイド・プッシュ)という形式があります。ダボ押し式の懐中時計は、竜頭の右か左にダボといわれる小突起がついていて、それをつめで押しながら竜頭を回すと針が動きます。爪を離して回せばゼンマイが巻けます。
ダボ押し式懐中時計

剣引き式懐中時計(レバー・セット)

このダボ押し式と同じ働きをする形式に、レバー・セットと呼ばれる剣引き式懐中時計というものもあります。ガラスの蓋を回して取り、右側か左側のレバーを引いて竜頭をまわすと針が動き、レバーを戻して竜頭を回すとゼンマイが巻けます。アメリカの鉄道懐中時計は、ほとんどがこの形式です。

剣引き式懐中時計(レバー・セット)

剣引き式の懐中時計は、だいたい1890年頃から1910年頃までの短い間だけ作られたので、数もそれほど多くはありません。この形式を知らずにゼンマイを巻こうとして、無理に竜頭を引いて壊してしまう人もいるので注意が必要です。

竜頭式懐中時計

最後の形式が竜頭式懐中時計です。大まかに言えば、20世紀の懐中時計になります。普通は、竜頭を引き上げて時間合わせをします。中には、逆に竜頭を押して回すと針が動く形式もあります。

ロスコフ式のワンダラー・ウォッチがこの竜頭式の懐中時計になります。ゼンマイを巻くときには、竜頭を通常の位置において巻きます。竜頭巻き式は数も一番多く、最も便利な方式です。

竜頭式 懐中時計

竜頭式の懐中時計は、現行形式といってもよいものだけに、アンティークの性質はその分だけ薄いといえます。それでも、すでに90年くらいの歴史を持っていて、懐中時計の遺産を腕時計に引き渡す架け橋的な役割を果たした形式といえます。