懐中時計の風防はアクリル製かガラス製か?

風防ガラスの“風防”とは、文字通り、風よけのことを意味します。
風防ガラスには、大きく2つに分けることができます。
それは、アクリル製の樹脂ガラスと、通常の無機ガラスです。
では、これら2つを判別するにはどうすればよいのでしょうか?
その判別方法は、爪で風防ガラスを軽くたたいいてみるのです。
この風防ガラスをたたく音によってこれらを判別することができます。

風防ガラスをたたいて、コンコンとか、ポクポクなど、軽めの音が出ているものはアクリル製、キンキンや、カンカンといった、硬質な音なら無機ガラスと断定できます。

アクリル製の風防ガラスは製造コストが安く、空気を通す性質があります。
平面では強度が確保されないため、エッジ部分を盛り上げたデザインになっていることが多いのが特徴です。この丸味を帯びたエッジのデザインは、懐中時計からの温もりを感じるデザインでもあります。

懐中時計の風防ガラス

アクリルは、独特のラウンドできれいな風防ですが、本来はオリジナルのガラス製の風防ガラスが使われていたはずです。アクリル製の風防ガラスが登場するのは、少なくとも第二次世界大戦後のことかと思われます。懐中時計が人から人へ受け継がれるうちに、オリジナルの風防ガラスが割れてしまい、後年アクリル風防ガラスに交換されたものと思われます。

アクリルは、その素材自体に粘りがあるので、割れにくい利点がありますが、その柔らかさゆえに傷が付きやすい欠点があります。一方、オリジナルのガラスには硬度があり、アクリルに反して、傷が付きにくい素材であるため、透明度の点からは、こちらのガラス風防のほうが優れているといえます。

懐中時計の風防ガラス

しかし、ガラス製の風防は一般的に割れやすく、風防自体のコストも高いのが難点となります。それでも、ガラスの風防が好まれるのは、硬質ゆえの透明度の高さとラインの美しさではないでしょうか。
アクリルとは異なり、全体的にきれいな弧を描くのがガラス製の風防です。

一概に、アクリルとガラスのどちらが良いのかというわけではなく、アクリルガラスでも、風防ガラスとしてぴったりサイズが合っていてきれいなものは、本当に良いコンディションだと思いますし、ガラスでもその上に傷が多かったり曇っていれば、やはり見た目にもかなり悪く映ります。

現在でも動き続けているアンティーク懐中時計の場合、大抵は何かしらのメンテナンスを受けているはずで、風防ガラスが交換されていることも少なくありません。大切なのは、きっちりとサイズが合っていることと、風防ガラス自体のコンディションが良いことがポイントだと思います。

アンティーク懐中時計は、ガラス風防を使ったものがほとんどなのですが、状態が良ければアクリル製の風防でもかまわないと思います。ただ、エステートセールなど、個人収蔵品として流通している懐中時計のアクリル製の風防ガラスは、サイズが合っていない場合も多く、ベゼルの上に乗っかっているだけで、きちんととまっていない場合すらあります。

懐中時計を見るときには、ガラスの状態はもとより、斜めから見下ろした
状態で、風防ガラスのサイズがベゼルやケースと合っているか、不自然なラインになっていないかもチェックしてみる必要があります。

きっちりとサイズが合っている風防ガラスが装着されている懐中時計は、手に取ったときの満足度がまるで違うと思います。素材の違いだけでなく、懐中時計全体としてのラインを見るとよいと思います。