懐中時計のムーブメントに表記されている姿勢数とは?

懐中時計の説明には、3姿勢や5姿勢などという“姿勢”という表記をよく見かけます。

懐中時計のムーブメントの部分に、“Adjusted 3 Positions”などと表記されているのがそれにあたります。

懐中時計の姿勢数

これは、“時計を置いた向きによって生じる重力の影響による時差を調整してありますよ”という意味です。

例えば、5姿勢(5 Positions)制御であれば、下のようなそれぞれの向きによって生じる誤差を調べます。

・平置きで文字盤を上にして計測
・平置きで文字盤を下にして計測
・垂直置きで3時を上にして計測
・垂直置きで9時を上にして計測
・垂直置きで6時を上にして計測

一般的に、3姿勢よりも5姿勢、5姿勢より6姿勢と、姿勢の数が大きなものは、それだけさまざまな向きで使用した場合でも、誤差が少ないように制御されていて、精度が高いということになります。

ところで、幾つも懐中時計を扱っていると、“Unadjusted”と表記された懐中時計に出くわすことがあります。

懐中時計の姿勢数

この“Unadjusted”をそのまま訳せば”未調整”品という意味になります。
懐中時計の姿勢の計測には、かなりの日数を要します。高級懐中時計の場合は
ともかく、一般懐中時計の場合には、そこまで精度調整に時間を掛けてしまうと、大量生産するのに向かないため、厳密に精度調整行うことなく出荷された「未調整品」という説があるようです。

でも、しっかりと組み上げた時計が何も調整されずに出荷されていたとは考えにくく、何も制御機構が備わっていないということを刻印していたというのも不自然ではあります。

昔は懐中時計は大変な高級品で、輸出入の際に、ケース素材や、ジュエル数などによって、高い関税が掛けられていました。また、姿勢数によっても、関税率が変わっていたので、見掛け上、“Unadjusted”と表記することによって、関税を低く抑えていたのではないかとも考えられています。

しかし“Unadjusted”と表記されていても、実際には、何らかの制御がされているものと思われます。