懐中時計から腕時計に移るまでの変遷

腕時計に移る前の懐中時計

腕時計に移る前の懐中時計はどのようなものだったのでしょうか?

第二次世界大戦後、精工舎は懐中時計の生産から事業を再開しました。腕時計の生産は翌1946年から開始されます。当時精工舎は掛け時計や置時計を生産していて、懐中時計は第二精工舎がつくっていました。

精工舎は戦争中に軍用のいろいろな懐中時計をつくっていて、その資材や部品が戦後にも残っていました。それを使って生産の復興をはかったのです。

この点、戦前に16型の懐中時計をつくっていたシチズン(大日本時計)は、戦争中に軍用懐中時計をつくらなかったので、戦後すぐに懐中時計の生産から始めることができました。

精工舎のエキストラ・フラット

下の精工舎のエキストラ・フラットと呼ばれる懐中時計は、軍用のクロノグラフからストップウォッチの機構を外したものです。

精工舎 エキストラフラット

生産期間が短く、数も少ない懐中時計です。デザインは従来の地味な精工舎のカラーから抜け出して、戦後の新しい時代の息吹を感じさせる面白さもあります。また、名前のとおり、薄型の懐中時計です。

戦争中に軍から支給された資材の残りを寄せ集めてつくったものだけに、同じエキストラ・フラットなのに針の形や文字盤の色が違い、デザインもさまざまです。良いのもあればあまり良いとはいえないものまであります。

この後につくられ、下の写真のような日本での最後の懐中時計となったゼルマとともに、戦後の混乱期を映した奇特な懐中時計でもあります。

懐中時計 ZELMA ゼルマ

一方、竜頭巻きといわれる形式の懐中時計は1908年ごろから、第二次世界大戦後の1946年ごろまでのもっとも新しい形式の懐中時計だったといえます。