【栄誉ある懐中時計たち】思い出を刻んだ記念の懐中時計

記念の懐中時計

人は、さまざまな組織とつながって生きています。学校、サークル、会社、労働組合、市町村、国、ときには国際的なつながりもあります。そういう組織と個人との間にあった出来事を記念の言葉で懐中時計に刻むのです。小さな時計は、それを100年、200年の後にまでも残すことになるのです。

思い出を刻んだ記念の懐中時計

思い出を刻んだ記念の懐中時計

世界の大企業に成長した東芝は、戦前から永年勤続者を表彰し、懐中時計を贈ってきました。
戦前に大企業に入った少年は、どんなにつらいことがあっても会社をやめませんでした。
大企業は定年まで労働者の面倒を見てくれるからです。勤続年数が増えるにつれて賃金も上がります。
そんな生涯雇用と年功序列のシンボルが永年勤続表彰なのです。
上の時計はセイコーシャ・ライトです。
国産の高級品で昭和16年ごろのものです。
直径4.2cm。

思い出を刻んだ記念の懐中時計

会社と従業員は一体であるという考え方が強かった戦前、会社の創立記念日には盛大な催しがありました。
ある会社が創立20周年を記念して配った懐中時計は、精工舎の高級グレート・エンパイヤの銀側、両蓋時計でした。裏蓋に会社のマークが彫られていますが、社名はわかりません。
おそらく取引先などに配ったのだろうと思われます。社内では役員クラスあるいは部課長以上に渡されたのではないでしょうか。
直径4.2cm。

思い出を刻んだ記念の懐中時計

思い出を刻んだ記念の懐中時計

思い出を刻んだ記念の懐中時計

懐中時計は一つの会社の記念だけではありません。
アメリカ建国100年を記念した時計がスイスで作られています。
裏には古い機関車の絵が彫ってあり、まわりに100周年記念の彫りがあります。
こういう時計には高級品も並級品もありますが、これは並級品になります。
シリンダー脱進機、10石入り、鍵巻き式。

思い出を刻んだ記念の懐中時計

思い出を刻んだ記念の懐中時計

思い出を刻んだ記念の懐中時計

中国では辛亥革命の立役者である孫文を記念して、肖像と有名な詩の一節「革命は尚、成功せず。同志よって、努力すべし」が刻まれています。
1911年、孫文は中華民国の臨時大総統になりましたが、袁世凱に謀られて退陣、中国国民党をつくり、国共合作に成功。全中国の統一を図りましたが、1925年に59歳で没しています。
スイス製、ニッケル側。
直径5.4cm。

思い出を刻んだ記念の懐中時計

思い出を刻んだ記念の懐中時計

この大型のストップウォッチは、運動の盛んな東海大相模高校陸上部の先輩が卒業記念に在校生に贈ったものです。
直径5.7cm。

思い出を刻んだ記念の懐中時計

思い出を刻んだ記念の懐中時計

ロシア革命で刑死したニコライII世夫妻の肖像を文字盤に描いて記念した懐中時計です。
スイス製、ミステリオ・タシイ・ウォッチ会社の製品です。
革命を支持した多数派にくみすることをいさぎよしとしない人々も少なくなかっただろうと思います。
そういう人たちが、ロシア帝国のシンボルとしての皇帝夫妻をしのぶよすがとしたのだろうと思われます。
直径5.0cm。