アンティーク懐中時計にウォッチペーパーって?

アラビア数字とローマ数字の文字盤

アンティーク懐中時計の生産は、1500年ごろから始まったとされています。1610年ごろには、蓋にガラスが入るようになり、その後まもなく文字盤やケースにエナメル画が描かれるようになりました。それから装飾の多い懐中時計がつくられるようになりました。

1700年ごろには、それを保護するために、二重、三重のケースがつくられるようになりました。ペア・ケース、トリプル・ケースと呼ばれるものです。

懐中時計 トリプルケース

古いアンティークウォッチを扱っていると、稀にケースの内側に綺麗な紙が挟まっている場合があります。古びていますが、とても綺麗なデザインの紙です。今から4世紀近く前の17世紀頃から、ガラスの風防とエナメルを使ったとても美しい懐中時計が登場します。18世紀には、この装飾を保護するために、二重・三重のケースが登場しました。
外側のケースは銀無垢などの金属ですので、そのままだとケースと懐中時計が擦れて風防やエナメル装飾に傷がついてしまいます。このため、隙間に布を入れて擦れを防止していました。ここに目をつけた時計商が布地のかわりに店の名前、所在地、営業品目、広告などを印刷した紙を挟むようになったのが起源といわれています。また、名刺代わり、チラシ代わりでもあります。これがウォッチペーパーと呼ばれるものです。

懐中時計 ウォッチペーパー

ときには、詩や格言を刷り込んだウォッチペーパーも現れたりしました。オーバーホールや修理の箇所、年月、代金などを書き込んで、あとあとの参考情報にしたりしたようです。ウォッチペーパーは、その懐中時計がどこで売られ、どんな修理が施されたのかがわかるようになっています。

懐中時計 ウォッチペーパー

後世の私たちにとっては、当時の修理料金の水準も知ることもできます。時計の身上書といってもよく、時計の歴史の一端を知ることもできるのです。

日本の鉄道懐中時計には、裏蓋には修理票が貼ってあって、鉄道局や修繕所の名前も書いてあり、「日々一定ノ時刻ニ巻締ザレバ時差ヲ生ズベシ。墜落セシメザル様、被服に固着携帯スベシ」などと印刷してあったりします。これもウォッチ・ペーパーの一つと見てよいでしょう。
名残りとは言え、デザインも素敵で、その懐中時計と共に過ごしてきたウォッチペーパーですが、挟まっている懐中時計と出会うチャンスは滅多にあるものではありません。

まとめ

アンティーク懐中時計のウォッチペーパーはその懐中時計の履歴書のようなもの。名刺代わりになったり、店の宣伝にも使われていたり、営業的な役割をしていたようですね。