【懐中時計の構造】懐中時計の調速機構

懐中時計の調速機構は、テンプ輪(テン輪・バランス・ホイール)とヒゲゼンマイ(バランス・スプリング)、それにエスケイプメント(脱進機)から成り立っています。ゼンマイの出力を調整し、輪列の回転速度を規制する運動を受け持ちます。

懐中時計の各機構

テンプ輪を支えている軸がテンプ真で、ヒゲゼンマイの一方はこのテン真に止められ、他方はテンプの上受に固定されています。テン輪の振動周期によって時計の歩度が規制されます。

緩急針(レギュレーター)を動かすと、ヒゲをはさんでいるヒゲ棒が動き、ヒゲゼンマイの長さを調節し、回転速度の調整ができます。FとSの記号が両端にあり、Fの方向に針を回せば、ヒゲは短くなって時計は進みます。Sの方向に回せば、ひげは長くなって遅くなります。この調整までは誰にでもできます。

脱進機は、ガンギ車とテンプを連結したり、切り離したりする動作を繰り返すことによって、調速機の運動を一定に保ち、等時性を確保する仕組みです。

テンプは、ヒゲゼンマイのエネルギーによって振動しますが、摩擦や空気抵抗のためにだんだん振りが弱まり、やがて止まってしまいます。このエネルギーの衰えを補って運動を続けさせる動作を繰り返すことによって、衝撃を与え続け、弱まったエネルギーを回復するのです。

脱進機は、長い年月の間に繰り返し多くの人たちの研究が行われ、今までに工夫された数は300を超えます。しかし、とりあえず知っておきたいのは次の4つです。

1.クラウン(冠形)あるいはヴァージ脱進機
2.シリンダー脱進機
3.イングリッシュ(英国式)レバー脱進機
4.アンクル脱進機

くさり引き装置とクラウン(ヴァージ)脱進機

ヴァージ脱進機