【さまざまな懐中時計】盲人懐中時計

盲人用懐中時計

時計は目で針を見て、時を知る機械です。
この時計の500年という歴史の間に、視力をなくした人のための時計に対して、色んな工夫がなされてきました。

まず最初に工夫がなされたのはリピーターです。
音で時を知らせるリピーターは、盲人にとってまさに福音だったはずです。
しかし、社会的にハンデキャップを負う盲人には、リピーターの値段は高すぎました。

このあと、時計師のブレゲは、長い指針が一本文字盤についていて、それに指をふれて時を知る形式の“タクト・ウォッチ”を作りました。ケースよりも長く突き出た指針にさわって、時を知る仕組みを持っています。

その後、マジェスティック・ウォッチ・カンパニーが、時計の胴(バンド)にキザミがあり、それにふれて時を知る形式の“ノッチ・ウォッチ”を作りました。しかし、いずれも金側が多く高価で、盲人の希望にこたえうるものではありませんでした。

そして、第四の盲人時計が点字時計です。
点字時計は腕時計にもありますが、いずれも両蓋式の時計です。
蓋で文字盤を保護し、その蓋を開けて針を指でさわって時を知る仕組みです。
針は太く、ネジで止められていて丈夫にできています。この時計だけは、値段もスタンダードタイプと変わらず盲人にも求められてる値段でした。

盲人時計は、どこの国でも戦争によって失明した軍人を対象に作れることが多く、日本でも第二次世界大戦中に政府の要請によって開発され、皇后から失明軍人に与えられました。いわば、恩賜の時計の一種で、普通の盲人は買うことはできなかったといわれています。

現在でも、精工舎製の盲人懐中時計は、入手が困難なものとなっています。

盲人用懐中時計

盲人用懐中時計

スイス製、15石入りの盲人懐中時計です。
文字盤も金属で、指でふれるように太い針でできています。
中蓋にあたるガラス蓋はなく、外蓋をあければ直接文字盤にさわることができるため、これで盲人は時を知るための不自由さを取り除くことができたと思います。
直径5.0cm。

ウォルサム(WALTHAM)社製盲人懐中時計

ウォルサム(WALTHAM)社製盲人懐中時計

ウォルサム(WALTHAM)社製の盲人懐中時計です。
アメリカで、第一次世界大戦答辞に作られた盲人用の時計です。
デザインもすぐれていて、ファッションウォッチとしても使えるほどデザインが良いものです。
ケースはデニスン製。イギリス製なので、ホールマークもついていて、1918年製であることがわかります。
銀側、15石入り、竜頭巻き式。直径5.3cm。

盲人用懐中時計

盲人用懐中時計

盲人用懐中時計

フランス製の15石入り盲人懐中時計です。
“1914年から1918年にいたる世界戦争で失明した人たちを援助するために”フランスの盲人援護協会から送られたと文字が刻まれています。
点字時計は、戦争による失明者の救護のために作られたということを物語っています。
直径5.2cm。