【さまざまな懐中時計】婦人用懐中時計

婦人用懐中時計

女性用の懐中時計といっても、特別な構造を持っているわけではありません。ただ一般的に言って、小型であったり、エナメルで模様や肖像が描かれていたり、彫刻が一面にほどこされていたりするだけのものです。いわば小さくて薄型、装飾が多いというのが、かつての女性用懐中時計の特徴でした。

だいたい、懐中時計は装飾性あるいは芸術性をいわれる性格と、時を測るという実用性の両面を兼ね備えています。そして、時代によって装飾性が重視され、ときには実用性が強調されたりします。時代による流れが大きく、懐中時計の性格を決める点では、女性用でも男性用でも変わりはありません。ただ、いずれの場合にも、女性用の懐中時計には装飾性が強調される傾向が強いということがありました。

しかし、今ではこの区別はほとんどなくなっています。男性でも小型の懐中時計を好む人もいれば、女性で直径が6.0cmくらいの時計をバッグにつける人もいます。懐中時計の大きさは、それをつける場所との関係で決まります。
小さなポケットに大きな懐中時計は似合いませんが、大きなバッグには中型から大型の懐中時計が似合います。そういう点では、女性のほうがコーディネートのポイントを心得ていて、必ずしも一時的な傾向にとらわれない柔軟性を持っていいるとも言えそうです。

最近は、両蓋の懐中時計を求める女性が増えてきていますし、ハーフ・ハンティングの小型の懐中時計も人気が集まってきています。
以下、婦人用懐中時計をいくつか紹介していきます。

婦人用懐中時計 シスター・ウォッチ

シスター・ウォッチ。
日本では普通、ナース・ウォッチと呼ばれていますが、ヨーロッパではシスター・ウォッチと呼ばれています。
修道院のシスターや病院のナースが、ペンダントのようにして使っている小型の懐中時計です。
これは七宝に宝石入りでジュネーブのエムカのマークが入っています。17石。
こういう使い方をするのには、軽い小型の時計が似合います。

婦人用懐中時計

婦人用懐中時計

婦人用懐中時計

鍵巻き、片蓋のスイス製婦人懐中時計です。
140~150年前の製作。
銀側に細かい彫刻が入っています。
長いくさり(フルサイズ)をつけてペンダント風に使ったり、短いくさりをつけてバッグにしのばせたりします。

婦人用懐中時計

婦人用懐中時計

婦人用懐中時計

ダボ押し、銀側のスイス製婦人用懐中時計です。直径3.3cm。
90~100年位前の製作。
ただし、デザインは200年ほど前の鍵巻き細首を模しています。
細首とは、ペンダント・ネック(竜頭を支える管)が細いスタイルで、18世紀頃に流行しました。

婦人用懐中時計

婦人用懐中時計

鍵巻き、銀側、シングル・ケースのイギリス製婦人用懐中時計です。
1760年ごろの製作。ホールマークが不明確で、正確な製作年はわかりません。
ミドルウォッチのブランレス作のシングル・ケースです。
大型のテンプ押さえと裾などがすべて透かし彫りになっています。
クラウン(ヴァージ)脱進機、くさり引きでピラーは角型です。
ペア・ケースの時代の懐中時計ですが、あるいはフランスのオニオン・ウォッチの影響を強く受けているかもしれません。
オニオン・ウォッチとは、17世紀のフランスで流行したタイプのウォッチで、分厚く、たまねぎの形に似ているので、このように呼ばれています。明治時代の日本では「まんじゅう」と呼ばれました。

婦人用懐中時計

竜頭巻き、赤銅側、片蓋の精工舎ローレル。7石。直径3.1cn。
これが日本初の婦人用懐中時計です。
また、このムーブメントを使って、日本初の腕時計・ローレルが作られました。
二つの意味で記念碑的な時計となります。
アンクル脱進機のいわゆる専売型です。