【さまざまな懐中時計】ポケット・クロノメーター

ポケット・クロノメーター

クロノメーターとは、普通に運搬できる最も精密な時計のことを呼びます。昔、陸地をつないで何日も航海を続ける船舶は、緯度と経度を測って現在の位置を確かめることができました。緯度は子午線上の恒星を観測することによって知ります。経度を測るには、グリニッジ時間を示す正確な時計と、現在地の真太陽時との差を確かめることが必要です。

17世紀末になると、各国は正確な時計の研究を奨励し始めました。多くの時計師たちが研究に加わりましたが、もっとも顕著な功績をあげたのは、ジョン・ハリソンでした。彼の作ったクロノメーターの正確さは抜群でした。

ハリソンのクロノメーターを基本にして、ラーカム・ケンダルが作ったK1は、キャップテン・クックの船に乗せられ世界最初の南半球の探検に出かけましたが、クックはハワイで殺されました。K2は、反乱で有名なバウンティ号に乗せられていました。転変を重ねたあと、K2は56年後にイギリスへ帰ってきて、今も博物館にあります。
普通、船舶で使われるマリン・クロノメーターは、船の動揺に耐えられるように、木製の箱の中に安定した形でおさめられています。そのため、ボックス・クロノメーターとも呼ばれています。
かつてイギリスの時計学会は、クロノメーター脱進機(デテント脱進機)を持つ時計だけをクロノメーターと呼ぶと定義し、一般的に承認されてきました。

デテント脱進機にもいくつかの形式がありますが、大きく分ければバネ式と軸止式の二つになります。バネ式はマリン・クロノメーター、軸止式は主にポケット・クロノメーターに使われています。

ポケット・クロノメーターは、デッキ・ウォッチとも呼ばれています。第二次世界大戦中に、セイコーシャ19型を15石にし、24型のケースに入れたのもこれにあたります。

ポケット・クロノメーター

ポケット・クロノメーター

ラ・ショート・ド・フォンのシュワーベ・フルーレ社の刻印入りクロノメーターです。
クロノメーター記号、片蓋式、中ガラス、15石入り、クロノメーター脱進機、提灯ヒゲ、剣引き剣まわし。
「ヴィクター」の銘があります。
直径5.5cm、厚さ1.9cm、重さ120gとちょっと大きめのクロノメーターです。

ポケット・クロノメーター

ポケット・クロノメーター

ポケット・クロノメーター

ユリス・ナルダン製のクロノメーターです。
スイスのニューシャテル天文台のクロノメーター・テストに合格しました。
登録ナンバーは21892、インジケーターつき、54時間巻き、文字盤金属製、クロノメーター脱進機、ダボ押し。
ファブル・ブランド商会の刻印入り。
直径6.4cm。

ポケット・クロノメーター

ポケット・クロノメーター

コロン&カンパニー製のクロノメーターです。
ナンバーは84601、0.900の銀側、提灯ヒゲ、クロノメーター脱進機、15石入り、中蓋ガラス、剣引き剣まわし。
もともと両蓋であったものを、表蓋をはずし、蝶番をやすりで削り取ってあります。
裏蓋に職印と思われる小さなゴム印が数個押してあります。
直径6.0cm、厚さ1.9cm、重さ150g。